こんにちは、にこたです🧸
どうもひとりで読書していると萎えて長続きしないので月ごとに読んだ本を紹介してみようかと思います。
読む作品を模索している人のお役に立てたら幸い。
ちなみに ネタバレじゃん!!! という書き方をしている部分もありますが、ネタよりも描写を見てほしいときはそういう書き方をしたりするので苦手な方はお気を付けを。
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【5月の読書】
◆梨木香歩
・エンジェルエンジェルエンジェル
祖母と主人公がなんとなく嚙み合ってるんだかどうかわからない状態で交流していく話。物語そのものは章立ての奇数が「主人公が語る現在の話」で偶数が「祖母が回想する過去の思い出」になっていて、気づくまで多少読みづらかったです。
最後まで嚙み合ってるんだかわからない(これは読者のとらえ方次第かなあ)状態でお話は終わりますが、なんだかちょっと救われるお話です。というかストーリーそのものよりも祖母の回想が読みやすいのにちゃんと古めかしい言葉で語られていてその情景が美しいです。もう祖母が主人公の短編とかあったら読みたいくらいに。
読後感は泣いた後とかの気怠いけどすっきりした~みたいな感じです。
・西の魔女が死んだ
梨木香歩と言えばこれよねと思いつつおばあちゃんを使って感動させようとしてるんでしょ!!と思って読んでいなかった作品。エンジェルエンジェルエンジェルが良かったからまあこれも読んでみますかねと思って手に取りました。なんか映画化されてるよね、確か。
しょっぱなから祖母が死んで母が泣きながら祖母の家に主人公と向かうというかんじで「オワァ重いねえ」とか思っていたんですが、祖母が死に至る前の回想が主のお話です。エンジェルエンジェルエンジェルと似てますね。で、読み進めていくとTHE・大人びた賢い子どもというかんじの主人公が「魔女修行」という体で祖母にうま~く精神修行させられる(嫌味のない感じでね)ストーリー。祖母と主人公がどういう着地点に落ち着くのかは読んでみてからのお楽しみ。「死!!!!」という始まりなのでくらい話かと思いきや古き良き日本の情景だったり、意外な読後のさわやかさが面白い作品でした。
祖母の家の情景の描写が美しいので映画で見るのもいいけど描写だけでも小説で味わってくれんかのう~~~っていう感じ。
◆藤野可織
・爪と目
気味の悪いお話3本立て。全部つながりはないし、長編とやや短めの話とさらに短い短編で読みやすさに配慮されすぎでは!?と思いました。それぞれ人間の気持ち悪さですが、ジャンルの違う気持ち悪さでそういうバランスもいい。
個人的には「世にも奇妙な物語」の気持ち悪い話好きな人は好きだろうな~と思う。なぜって私自身がそれ系好きだし、同じような気持ちで読んでいたので。全体的に表面張力のようにギリ平和という日常にじりじりと不穏なエッセンスが一滴一滴足されていくような雰囲気があります。
◆江國香織
・ぼくの小鳥ちゃん
主人公のもとに突然「小鳥ちゃん(喋る!!)」がやってきて主人公・小鳥ちゃん・主人公の彼女の三者で過ごす日常が描かれていきます。文庫では珍しくカラーの挿絵がちょいちょい出てきて目にも新鮮です(新潮から出てる江國香織の本は割とカラー挿絵がある。うれしい。)。
私は普段から人外が人間生活に当たり前のように加わっている話を好んでいるので「小鳥ちゃん」は何かの例えであってそれそのものは小鳥でもないんだろうなと思っているんだけど、そうやって読み進めるとヒ、ヒィ!ってなるような気がします。正体について確証を得ていないのでアレですが、「これだと思う!!」というのがあったら教えてほしい。
◆宮内悠介
・彼女がエスパーだったころ
日常に受け止められる程度のライトSFを足したお話が数作入っています。全部は判らなかったですがロボトミーを参考にしているものや新興宗教を参考にしているものもあってそういう意味で「パラレルワールド」感があります。主人公は主にそれらを取材する記者です。
一番好きだったのは「薄ければ薄いほど」という作品で、「この特別な水を飲んだら症状がよくなるよォ~。あと安らかに死に向かう気持ちの妨げになるから記録取ったりメディア見たりするの禁止ね。」みたいな胡散臭いホスピスにいる風俗嬢を取材するお話。この短編では水が本当に効果を持っているのかという科学的根拠はなさそうという結論をほぼ出していますが別の作品とちょっとリンクしていてそれを読むと奇跡を信じてみたくなります。
作者あとがきで「判断をゆだねていて、どっちともつかないように書いている」とあったんですが書き手として必ずどっちかに寄るだろうと思って「ウギギ…作者の結論を読み取ってやる…」と思いながらしばらく目を皿にして読んでいました。
宮内悠介っていう名前見たことあるなと思ったら家にある我が家の積読タワーに同氏の「超動く家にて」がありました。タイトルが変で思わず買ったやつ。これもそのうち読む。
【5/31に追加で読んだ!!!!(頑張った)】
◆有島武郎
・生まれいづる悩み
多かれ少なかれ創作をする方には刺さる話。あと、有島武郎が北海道農学校出身なので北海道の情景が豊かに描かれています。有島武郎が実際に応援していた画家をテーマにしているらしいです(あとがきにあった)。
基本陰鬱なプロレタリア文学と墨を流したような灰色の情景という感じですが最終章でいきなり松岡修造ばりの「がんばれがんばれがんばれ!!」みたいなエネルギッシュな応援が始まるのでちょっとフフッとなります。
◆長野まゆみ
・カンパネルラ
長野まゆみどうしても好きなんですよね~。特に90年代の作品がね、ちょっと触れたら死んでしまうんではないかと思うほどの緻密なガラス細工のような少年が地球上にあるかないかというくらいの綺麗なひっそりとした自然豊かな場所で過ごすお耽美なお話がね、いいんですよね、、。そういう描き方されてる少年が複数出てきたら少なくとも一人は死ぬんですが(最大全滅)、死の描写も匂わせる程度で輪郭が淡くぼかされていて「匂わせのプロなんか???」などと思います。
あと、タイトルにある「カンパネルラ」という名の通り長野まゆみは宮沢賢治ヲタクです。この文庫のあとがきで「カムパネルラと書かれていたのに昭和40年ごろの改訂でカンパネルラになっていて宮沢賢治自身がそれでいいと言おうとわたしは認めない」みたいなことが書いてあってウヒョ~!強火ヲタクゥ~!!って思ってテンションがブチ上がりました↑↑
ところで長野まゆみ好きだぜって人に会ったことがないんですがなんでですか????
あれですよ、シワのない半ズボンにサスペンダー付きの白いシャツを着て日の当たらない場所でひっそり読書をしている異国の少年(しかもまつ毛が陽の光できらきら光る)とかが好きな人は絶対好きですよ!!!!!!90年代の長野まゆみを履修して!!!!お願い!!!!!!!
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読書しています!!!というにはやはり少ねぇな(当社比)。
月10冊以上読む人のモチベの保ち方が知りたいよ!!教えて!!!!!
そろそろ暑くなってきたので来月は夏っぽい小説ドカドカ読みたい!!!そんな気持ちだけはある!!!!!
あ、無理だと思うけどあと1日で歌野晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」読もうかな。季節に合った本読むの4DXみたいでいいよね(伝われ…!)。
それでは、皆様も良き読書ライフを~。